
お庭に鎮座していた長方形のいけすのような池、煉瓦でつくったバーベーキューコンロ、それらの周りに計画なく植えられた木々。非常に雑然としていた庭。しかしこれらは思い出のあるものなので、壊さずに残しつつ景観を整えてとの依頼でした。
打合せを重ねた末、それらの機能を思い出と共に一つのレイヤーで包みこむことで雑然を整然に変えることにしました。
そのレイヤーとして選んだのがウッドデッキです。しかし、ただの板を並べただけのウッドデッキでは包むというよりは臭いものに蓋をしただけになってしまいます。包みたいのは思い出の品々、やはり過去を感じられなければなりません。そこでデッキ材を縦で用い、水平の格子になるようにすることで下の品々がチラチラ見えるようにしました。こうする事の利点は他にもにいくつかあります。

まずは、デッキ材を縦で使うことで、強度や耐久性が上がります。次に、適度な隙間を作ることでデッキ下に光や雨が落ち植物等が活きることができます。自分はデッキ下の埃っぽい感じが非常に嫌なのでこの利点を生かし、フキやワラビ等の山菜を植える事を計画しました。さらにデッキ材を釘やボルトを一切用いらずに留めるようにしました。こうすることでデッキ下のメンテナンスやデッキ材の交換も容易となりました。
今では池や緑と一体となり、憩いの空間、集いの空間となっています。
設計:らんちゅう製作所/横堀将之 制作:施主の皆様、私、友人