2011/12/03

脳内アマゾン

めっきり寒くなった今日この頃、日本を離れ暑い暑いアマゾンで1mの怪魚とファイトする。
そんな夢を家計の都合上、そんな夢で終わらせるため、でかい+怪魚=アマゾン という短絡的発想の数式を切り替え、最初のでかいのみを重要視し でかい+近所 と数式を立て直す。よって答えはコイである。コイは庶民の見方である。あとはコイをドラドに置き換え、近所のドブ川をアマゾン川と思い込めばパラダイスは案外近いところにあるものである。
自転車でアマゾン川へ行く途中、コンビニという名の小屋に立寄り、原住民も食べているであろう、小麦粉を水で練って焼いたものを入手する。これを入手するにはカウンター越しの住人の許しを得なければならないのだが、幸い私が持っていたおじさんの顔の描かれた紙が気に入ったらしく難なく入手できた。
かくしていよいよアマゾン川へ立ったわけだが、どういうわけだかこんな奥地にすでに太公望が3人もいるではないか。もしやコ、いやドラドはすでに彼らの手の中かと心配したのも束の間、目の前を悠々と数匹のドラドが通り過ぎていく。
さっそくロッドを取り出し小麦を練って焼いたものを針に付ける。そう、住人から入手したのはドラドの餌である。ドラドの数メートル先に投入し様子をうかがう。明らかに意識しているのがわかるのだが、なかなか口を使わない。30分くらいたったころであろうか、突然グッドサイズのドラドが餌に近づき喰らいついた。すかさず合わせを入れる。見事フッキングし少々大人しいドラドとのファイトが始まる。脳内では激しいジャンプを繰り返すドラド、現実ではすんなりネットに納まる。75cm。これまでの道のりを思い少しだけ感動にひたった事にする。
その後下流にポイントを移す。下流のポイントでは少年野球族の族長と子供達に出会った。子供達はドラドを発見するやいなや、石で捕獲をはじめた。太公望達がいるにも関わらずやりたい放題である。何と族長もそれに加わる。族ではその名の通り野球なるものを子供達に教えているようであるが、もっと先に教えるべき事があるのではないかと心配になる。
野球族の登場により、アマゾン川は喧騒に包まれたが去った後は静寂が訪れ、夕日に染まる。
と、またもや突然足元でドラドが小麦でできたものを奪い去った。今度は引きが強い。数分のファイトの末、ネットイン。70cm。サイズは落ちたがナイスファイトであった。さすが喧騒にめげずに喰ってきただけのことはある。一息ついて辺りが暗いことに気がつく。急に心細くなる。なにしろ日本まで帰らねばならないのだから無理はない。
愛機のエンジン全開で心臓と肺を痛めながら日本を目指す。全開のおかげか10分程で帰国する。
ドアを開ければそこは日本、懐かしい我が家。
そんな近所へ自転車で鯉を釣りに行ったという週末の2時間の旅でした。